4月8日の日記

2006年4月8日 日常
「ハイド」

声のした方を向くと自分の雇い主である歪夜が立っていた。
薄く形の良い唇には何時もの銘柄の煙草が挟まっていた。
長さから云って、たった今火をつけたばかりなのだろう。
くしゃり、頭をかきあげて、煙草を指で摘まんで口から離し煙を吐き出す。

「何すか」

短く用件は何かと訪う。
この人は用がなければこんな面倒臭い所までは足を運んでこない事を自分は知っている。
その俺の様子を見てはぁ、と煙と溜息を一片に吐き出す。
何を云うか、如何云えば良いのか思案しているようだ。

「ハイド」

もう一度、俺の名を呼ぶ。
この人には珍しく歯切れの悪い話の進め方だ。
別に、俺はもう一人の自分がいなくなった事について何も思ってはいない。
そう告げると彼女に薄らと憐憫の色が見えて、小さく呟くように、

「お前の顔はそう、云ってはいない」

その言葉を残し、俺へ背を向けた。
別に俺は嘘を云ってはいない。本当にそう思っている。
でも、今朝鏡で見たその顔は酷い喪失感に塗れていて。
酷く胸が苦しかったのを覚えている。

何でこんなに苦しいのだろうと問い掛けるのに返ってくる言葉は無く。

+++
灯さんとハイド
ジキルが消えた後ハイドは如何想っていたか
灯はA.Rを持っているのでそんなの訊かなくても解っているだけど
何と無くなんだ
自分用長文御題第一弾三番目
1君が消えてしまう事が、トテモ哀しいなんて誰が想像したのだろう。
2手の中の物は爛々と輝く月の光を浴びて鈍い光を放った。
3愛しい君の後ろに長く伸びる影の上にそっと接吻を落とした。
4何でこんなに苦しいのだろうと問い掛けるのに返ってくる言葉は無く。
5屹度君は知っていただろうに何故自分には教えてくれなかったのかと今更。
6流れた一粒の涙は多分君を想っていたんだと自己満足の答えを出した。
7自分の事だけ見ていてなんて独り善がりな事を君に云える訳無い。
8額に優しい接吻を落としている君は嗚呼何て残酷で美しいのだろうか。
9昔はこの背中に翼があったなんて大嘘地でさえも満足に歩けはしないのに如何して空が飛べると云うんだ。
10弱々しく呟く様に云った言葉は槍の様に降る雨の音に掻き消されて後で聞かれなくて良かったと安堵の息をもらした。

最後の方訳解らないよ

テキストファイルの癖に140KBある自分の小ネタ置場
140?とかふざけてるのかよ

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