9月24日の日記

2006年9月24日 日常
膨大な魂のない打ち棄てられた躯が転がる戦場に、
二人の男と女。
男は両手に大鎌、女は細身の先端の鋭く尖った片手持ち剣を持っていた。

「嗚呼、私はお前を殺しておくべきでした」
「父上、貴方は死ぬべきだ」

男は手の甲で口を隠すように笑う。
女は凛とした表情を硬くして睨む。

「愚かな娘」
「哀れな父上」

虚無、だ。

「「此処があなたの墓場になろう」」

酷く、そう酷く。
戦場に不釣合いで、けれど釣合っているのだろう。
似ているようで似ていない男と女の、相手が相手を哂う声が響いた。
一人は愉しそうに。もう一人は哀しそうに。

「はじめましょう」

どちらが言ったのかは分からない。
その後はただ。

膨大な魂のない打ち棄てられた躯が転がる戦場に、
鉄と鉄の、ぶつかり合う金属音、呼吸。そして。
愉しそうに、けれど哀しそうに、嗤う声だけが――響いていた。


生きるのも死ぬのも、全ては同じ事だ。

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