8月6日の日記

2007年8月6日
 美しくあれ、とその少年は言った。
「別に僕は、人でなくてもいいのさ。それが僕の敵になりえれば、それでいい」
 黒く塗りつぶされたような瞳の色をして、少年は言う。
 諦めるように、しかし楽しそうに。
 「全てが、僕の敵になれ。そして美しく、また強く、そして弱くあれ、と」
 生けるものに告ぐ、と感極まった様に。
 美しくあれ、と少年は叫んだ。
 黒衣でその身を固めた、少年は演説でもしようかと言うほどに滔々と。
 何かに陶酔しているような調子で。
 「愛して、やろう」
 ただし条件付きでな、と少年は言った。
 「僕の、敵となれ。××××」
 少年は優雅に、邪悪に、愉快そうに、笑った。
 それは天使の顔の悪魔にも似た。

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