3月2日の日記

2008年3月2日
葬列する人たち。すすり泣く声。死臭を隠すためなのだろう甘いにおいが鼻を擽る。
黒衣はいつもの事だがそれは恐怖を携えた軍服ではなくただの喪服であった。
たいさ、と口を動かす。
本当は声も出そうとしていたのだが口の中を通って外にでる前にそれは消滅した。
声を掛けなくてよかったと彼の顔をみて気付く。
大佐はいつもと同じ冷たい表情でけれどその顔は何故か泣いているようにもみえた。
自分の名を呼ぶ声にびくりとする。大佐が此方に気付いたのだ。
瞳は赤いのに温かさを感じさせない冷たい色。
その双眸に見止められると身体が思うように動かなくなる。蛇に睨まれた蛙という比喩がそのまま体現される。
しかし今はどうだろうか。赤の冷たさは零れ落ちて、その瞳は温度をなくしている。
「……大佐」
「何も言わなくていい」
俺らしくないのは今だけだと言う。

+++
ばーるなんたらかんたら大佐

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