4月29日の日記

2008年4月29日
彼女の。彼女の腕の向くその先は、死、だろう。
麗しくも美しいその鉄の少女は自分の在るべき所を知っている。
自分のするべきことを知っている。自らの運命のその末端すらも。
その細い腕に込められたものは、その矮躯に篭った想いは、
いったいどんなものなのだろうか。
イケニエとして捧げられた少女は、国を護る番人として、
国の象徴として、国の礎として、連綿たる時を今まで生きてきた。
俺には、本来ここにいてはいけない俺には、
その考えの一欠片すらつかめない。この片腕では。
もし両腕が存在したとしても、
俺のような輩になど届かないところにそれはあるのだろう。
必死に手を伸ばしても、届かない。その場所。頂。神聖なる場所。
隣に立っているというのに、こんなにも離れているのかと思うわざるをえない。
魂の距離。
それでも俺は、たった一人の人間としてこの少女の傍にいたいと思う。
せめて俺が死ぬまで、このちゃちな模造品の光が燃え尽きるまで。
可哀想な女の子が一人で迷ってしまわないように。
こんなちっぽけな光でも役に立つというならば、足元を照らしてさしあげよう。

自らの黒金で刻んで誓ったその日を思いながら、俺は笑った。

「あいしてます、おれのおとめさま」

+++
主従?を目指したファンタジーイエー
ファンタジーだけど鉄の子はセーラー服

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