6月23日の日記

2008年6月23日
桜の下には死体が埋まっているといったのは誰だったのかとぼくは思い返していた。いつもなら隣に常にいる彼女の姿がないのでぼくはぼくらしくもない少しばかり感傷的な想いに浸っていた。さて誰だったのかたしかどこかの本で読んだ気もするがとその桜並木の間を黙々と歩く道は暗い。それは何故と問われてもなんてことはない夜だからということだけだとぼくは返すだろう。夜、歩く。夜歩く。ナイトウォーク。それならぼくは夜歩く者、ナイトウォーカーといったところか。毎晩は流石に彼女に怒られるだろうから週に一度くらい今度は彼女も誘って歩くのもいいだろう。けれど彼女はそれを嫌がるかもしれないなぜなら彼女は夜の眷属だから夜なんて歩きなれているだろう。

「今日は月が綺麗ですね」

彼女がいたらぼくは向かって言っただろうその言葉を独り言ちてみる。彼女はきっとその言葉を肯定するだろう。今日の月は綺麗だから、その言葉の意味に気付かずに、何もわからずに。そしてぼくは満足気に微笑むだろう。ぼくにとってはそれだけで十分だといわんばかりに。彼女は不可解そうに顔を顰めるだろうかそれとも何だったのかと訊ねてくるだろうかあるいは両方か。なんにせよその意味を知ったときの彼女の顔を早くみたいと思ってしまうぼくはやはり彼女のことが好きなのだろう。そう改めて実感するとなんだかぼくは彼女に会いたくなったので早々に夜歩くのを止め居るべき場所へと戻ることにした。

暗藍の空の下、桜はさわさわと夜風に心地よさそうに揺れている。

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人見稀彦
人見と灯さんはばかっぽぅですでした
中二病の産物はまだ生きているようだ
このまま死なないでほしいものです

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