「わたしのことを好きになってください」
大きな瞳から、その瞳と同じ位大きな雫を零しながらそれは俺に縋った。白と黒とその中間色で構成された俺の視界にうつる、それは唯一色をもっていたものだけど、今はもう色を失っている。どうしたのだろうか。色がない。いろが、俺の色がない。壊れてしまいそうだったあの色が壊れてしまった。俺はどうすればいいのだろうか。モノクロで構成された俺の視界。俺の思想もモノクロ。色がない。どうしようもなくなって、どうしようかと考えて、どうにもならないことに気付いて、思考に終わりを告げた。
「……むりだ」
かつては色を持っていたそれを引き剥がすと、それはひどく傷ついたような顔をしていたように思える。表情すら、俺の目は識別しないようになっていた。元のように、戻っていた。それは一瞬表情をなくし、なくしたあと両の手で顔を覆った。手も顔も同化してわからなくなった。
なんで、どうしてと呟いているのが聞こえた。俺にもわからなかった。(俺だってお前のことを好きになりたかったし、好きになっていたのかもしれないのに、お前は色を失ってしまったので)(俺はお前の色だけが好きだったのか)(俺はお前が好きだったはずなのに)(俺は、どうして)
とす、という軽い感触が腹にあった。ぐりりという異物感の後、それはなくなった。
腹をみやると、赤。赤。赤。赤。あか。あか。
あかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあ、か。
「え、あ」
「ごめんなさい」
それの手には赤のついた何かが握られていて、顔の判別もできなくなった何かはごめんなさいを繰り返していた。からんと乾いた音をたてて赤色のべったりとしたものは地面に落ちた。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいあなたが悪いのわたしが悪いのわたしわた、わる、くいなくわるいのは、」
赤が、モノクロ世界に唯一色を、自分のいのちの、いたい。いいちあいいちあい痛いたいちたああっッつたいた熱いいああいあああああああ。あああいたいいぎっぎいがああああぎじじいいいいぐららららららららららr
(俺のさいごの世界の色は、ただの赤だった)
+++
途中で飽きたもう少し掘り下げてもいいかもしれない
モノクロ視界の男の話
大きな瞳から、その瞳と同じ位大きな雫を零しながらそれは俺に縋った。白と黒とその中間色で構成された俺の視界にうつる、それは唯一色をもっていたものだけど、今はもう色を失っている。どうしたのだろうか。色がない。いろが、俺の色がない。壊れてしまいそうだったあの色が壊れてしまった。俺はどうすればいいのだろうか。モノクロで構成された俺の視界。俺の思想もモノクロ。色がない。どうしようもなくなって、どうしようかと考えて、どうにもならないことに気付いて、思考に終わりを告げた。
「……むりだ」
かつては色を持っていたそれを引き剥がすと、それはひどく傷ついたような顔をしていたように思える。表情すら、俺の目は識別しないようになっていた。元のように、戻っていた。それは一瞬表情をなくし、なくしたあと両の手で顔を覆った。手も顔も同化してわからなくなった。
なんで、どうしてと呟いているのが聞こえた。俺にもわからなかった。(俺だってお前のことを好きになりたかったし、好きになっていたのかもしれないのに、お前は色を失ってしまったので)(俺はお前の色だけが好きだったのか)(俺はお前が好きだったはずなのに)(俺は、どうして)
とす、という軽い感触が腹にあった。ぐりりという異物感の後、それはなくなった。
腹をみやると、赤。赤。赤。赤。あか。あか。
あかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあ、か。
「え、あ」
「ごめんなさい」
それの手には赤のついた何かが握られていて、顔の判別もできなくなった何かはごめんなさいを繰り返していた。からんと乾いた音をたてて赤色のべったりとしたものは地面に落ちた。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいあなたが悪いのわたしが悪いのわたしわた、わる、くいなくわるいのは、」
赤が、モノクロ世界に唯一色を、自分のいのちの、いたい。いいちあいいちあい痛いたいちたああっッつたいた熱いいああいあああああああ。あああいたいいぎっぎいがああああぎじじいいいいぐららららららららららr
(俺のさいごの世界の色は、ただの赤だった)
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途中で飽きたもう少し掘り下げてもいいかもしれない
モノクロ視界の男の話
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