3月4日の日記

2009年3月4日
今にも死にそうな顔をしている。

男の容貌に浮かぶ死相をみたとき俺は愕然とした。顔色は渋紙のようにかさかさと青ざめ、唇もからからに乾いていた。
呆然としていた俺に気付いた男は薄く笑ったようだが、その笑みも力がこもっておらずそれすら死を意味しているように思えた。ようこそ、と言った声はしゃがれ老人のようだった。男は身を起こそうとごそごそ動いたものの、それはかなわず諦めた。何をしているという声を聞いて俺はようやく現実へと引き戻された。夢だと思った。夢であれ、と思ったがそれはまた以前と同じように紛うことなき現実だった。床で寝ている男の横に立つとよりいっそう男の悲壮さが目について、俺は悲しみのような憎しみのような気概を抱いた。いっそ殺してやるべきなのではないだろうか。男の手をとる。骨が薄い皮膚をおしあげ、ごつごつとしていた。男の体にかかっている布を捲くればどうなっているのかが予想つく。
肌はまだ温かい。血液も流れているのがわかる。けれど、もうこれは、この男は。
どうしたと俺を気遣う声がする。水すらも受け付けなくなっていた体は、声ですら喉に引っ掛かるのか。

「お前は」

死ぬんだな、と勝手に声がこぼれ落ちると、男は以前と同じように笑ってみせた。

+++
餓死ってどうだろうか

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