「ヒーローになりたい」
茶けた黒髪の下の、呆けた顔から出た言葉はそれだった。
図書館の中でいつも決まった机を一つ、陣取っている男の名は人見稀彦という。
人見は陣取っているのではないといっていたのだが、
毎回開館と同時に入り机に突っ伏して寝ている者のいうことではない。
その行動は度し難く、そうでなくとも人見という男は近寄りがたい雰囲気を発しているのだから陣取っているという言葉が妥当である。
私は適当に相槌をうちつつぱらり、といかにも本を読んでいる風に捲った。
しかしその実、本を読むことは諦めている。
人見は明らかに本よりも、どんな作り話よりもおもしろい。
真実は小説より奇なりという言葉があるが私にとってそれは人見は小説より奇なりという言葉に変換できる。
私はこの場の誰よりも変異な道を歩いてきたと自負していい。
しかしそれ以上に、人見は未知の道(ちなみにこれは洒落ではない断じて)を
歩んできたのではないだろうかというのが私の見解だ。
「ヒーローになりたいんだ」男はぐだぐだと呻くように、顔を机に伏せた。
男は偶に話が通じない時がある。
それは人見という男が不安になったり、疲れていたり、寂しくなったり。
いかにも子供染みたことが原因である、ということが最近の私の調べでわかっている。
調べというかまあ、私が勝手に理解しているとしているだけなのだが。
人見の観察は、私にとって一つのライフワークとなっていた。
それは私が人見という男に興味を抱いたからでもあるが、他に理由が一つある。
「なればいいじゃないか」私は本を閉じていった。
人見は机に伏せたままもごもごとして「なれないんだ」呟いた。
そして人見は伏せていた首を隣に座っていた私の方に向けて、弁解するように続ける。
「君ならなれるよ」
どうやらこの男が私に惚れたように、私もまた人見に惚れているようだったのだ。
+++
人見と灯
のっぺらぱとした男とツンクーデレ女
流石人見は叶衛くんの元ネタなのでぐだぐだしてます
人見は灯さんに一目惚れしてました実は
茶けた黒髪の下の、呆けた顔から出た言葉はそれだった。
図書館の中でいつも決まった机を一つ、陣取っている男の名は人見稀彦という。
人見は陣取っているのではないといっていたのだが、
毎回開館と同時に入り机に突っ伏して寝ている者のいうことではない。
その行動は度し難く、そうでなくとも人見という男は近寄りがたい雰囲気を発しているのだから陣取っているという言葉が妥当である。
私は適当に相槌をうちつつぱらり、といかにも本を読んでいる風に捲った。
しかしその実、本を読むことは諦めている。
人見は明らかに本よりも、どんな作り話よりもおもしろい。
真実は小説より奇なりという言葉があるが私にとってそれは人見は小説より奇なりという言葉に変換できる。
私はこの場の誰よりも変異な道を歩いてきたと自負していい。
しかしそれ以上に、人見は未知の道(ちなみにこれは洒落ではない断じて)を
歩んできたのではないだろうかというのが私の見解だ。
「ヒーローになりたいんだ」男はぐだぐだと呻くように、顔を机に伏せた。
男は偶に話が通じない時がある。
それは人見という男が不安になったり、疲れていたり、寂しくなったり。
いかにも子供染みたことが原因である、ということが最近の私の調べでわかっている。
調べというかまあ、私が勝手に理解しているとしているだけなのだが。
人見の観察は、私にとって一つのライフワークとなっていた。
それは私が人見という男に興味を抱いたからでもあるが、他に理由が一つある。
「なればいいじゃないか」私は本を閉じていった。
人見は机に伏せたままもごもごとして「なれないんだ」呟いた。
そして人見は伏せていた首を隣に座っていた私の方に向けて、弁解するように続ける。
「君ならなれるよ」
どうやらこの男が私に惚れたように、私もまた人見に惚れているようだったのだ。
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人見と灯
のっぺらぱとした男とツンクーデレ女
流石人見は叶衛くんの元ネタなのでぐだぐだしてます
人見は灯さんに一目惚れしてました実は
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