俺は生きているべきなんだろうか。唐突に思った。思って口に出した。
目の前にいた空色の髪の男は眉を顰め「僕に答えてほしいのか」と言った。
そうだと返したら男はまた「それは違う」と言った。
「君は僕に答えてほしいのではなく、他人に答えてほしいだけなんだ」
僕を必要としないのなら君はいらないよ、と言って男は立ち去った。
俺は答えがほしいだけなのかと納得して、それならばと、答えてくれる奴を捜すことにした。
一人目はだだっ広い廊下にテーブルまで設置して、鋼鉄の人形相手に優雅にティータイムに勤しんでいる少女だった。
俺をみると明らかに落胆した表情をつくりながらも「ごきげんよう」と丁寧に挨拶だけはする。俺もごきげんようと返すとますます不愉快そうに顔を歪ませた。
俺はそれを無視し、先ほど逃げた男にしたように疑問を投げかけた。
少女は即座に答えた。「死ぬべきよ」
「可愛らしさ、美しさ、若さ。その全てがないあなたなんて、生きている価値もないわ」
そう言って少女は優雅にカップの中の紅茶を飲み干した。
それもそうだな、と俺は思った。
二人目は近くにあった扉の部屋の中にいた。車椅子に座ったままぼーっとテレビを見ている。テレビの電源はついていなかった。
俺が無言で電源を入れてやるとようやくこちらに気付いたのか、にたりとやや黄色くなった歯をみせて笑った。耄碌爺め、と俺は心の中で呟いた。
俺はそれを無視し、先ほど優雅な少女にしたように疑問を投げかけた。
爺はゆっくりと首を横に振って答えた。「どっちでもいい」
「そういう疑問を投げかけるということは、お前はわかっているんだろうが、まあおれにとっては、どちらでもいいことさ」
そう言って爺は肩を竦めた。
それもそうだな、と俺は思った。
三人目は探さなければいなかった。捜すのではなく探した。俺の探し人である金色の髪の男は本を読んでいるところだった。
本を読んでいるということは、俺は話しかけるべきではないのだろうが、とにかく話さずにはいられなかった。男がどう答えるのか知りたかったからだ。
走り回った所為で荒くなった息を整えながら、俺は男の名を呼んだ。
男は少しだけ本から顔をあげて、こちらを一瞥し、そしてまた本へ視線を落とした。
俺はそれに少し胸を痛ませ、先とは違い余裕さの欠片もなく疑問を投げかけた。
男はまるでなにも聞いていなかったかのように沈黙をし、そして一言答えた。「生きたいんだろう」
「それなら生きるといい」
俺はその答えに満足して、そして我慢しきれずに「俺はお前にそう言ってほしかったんだ」と言った。
男は顔を上げることなく、ただ少しの微笑みを携えて言った。
「そんなこと、知ってるよ」
+++
じんちゅーと!
ラミが苦労人かと思ったらやっぱり気狂いの一種だった
少女はエリザベートです淡い色の髪をして大きなリボンをつけている
目の前にいた空色の髪の男は眉を顰め「僕に答えてほしいのか」と言った。
そうだと返したら男はまた「それは違う」と言った。
「君は僕に答えてほしいのではなく、他人に答えてほしいだけなんだ」
僕を必要としないのなら君はいらないよ、と言って男は立ち去った。
俺は答えがほしいだけなのかと納得して、それならばと、答えてくれる奴を捜すことにした。
一人目はだだっ広い廊下にテーブルまで設置して、鋼鉄の人形相手に優雅にティータイムに勤しんでいる少女だった。
俺をみると明らかに落胆した表情をつくりながらも「ごきげんよう」と丁寧に挨拶だけはする。俺もごきげんようと返すとますます不愉快そうに顔を歪ませた。
俺はそれを無視し、先ほど逃げた男にしたように疑問を投げかけた。
少女は即座に答えた。「死ぬべきよ」
「可愛らしさ、美しさ、若さ。その全てがないあなたなんて、生きている価値もないわ」
そう言って少女は優雅にカップの中の紅茶を飲み干した。
それもそうだな、と俺は思った。
二人目は近くにあった扉の部屋の中にいた。車椅子に座ったままぼーっとテレビを見ている。テレビの電源はついていなかった。
俺が無言で電源を入れてやるとようやくこちらに気付いたのか、にたりとやや黄色くなった歯をみせて笑った。耄碌爺め、と俺は心の中で呟いた。
俺はそれを無視し、先ほど優雅な少女にしたように疑問を投げかけた。
爺はゆっくりと首を横に振って答えた。「どっちでもいい」
「そういう疑問を投げかけるということは、お前はわかっているんだろうが、まあおれにとっては、どちらでもいいことさ」
そう言って爺は肩を竦めた。
それもそうだな、と俺は思った。
三人目は探さなければいなかった。捜すのではなく探した。俺の探し人である金色の髪の男は本を読んでいるところだった。
本を読んでいるということは、俺は話しかけるべきではないのだろうが、とにかく話さずにはいられなかった。男がどう答えるのか知りたかったからだ。
走り回った所為で荒くなった息を整えながら、俺は男の名を呼んだ。
男は少しだけ本から顔をあげて、こちらを一瞥し、そしてまた本へ視線を落とした。
俺はそれに少し胸を痛ませ、先とは違い余裕さの欠片もなく疑問を投げかけた。
男はまるでなにも聞いていなかったかのように沈黙をし、そして一言答えた。「生きたいんだろう」
「それなら生きるといい」
俺はその答えに満足して、そして我慢しきれずに「俺はお前にそう言ってほしかったんだ」と言った。
男は顔を上げることなく、ただ少しの微笑みを携えて言った。
「そんなこと、知ってるよ」
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少女はエリザベートです淡い色の髪をして大きなリボンをつけている
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