6月21日の日記

2009年6月21日
「殺す必要はなかったのではなくて、父様?」

氷でできた鈴のような、しゃがれた老婆のようにも、若い娘のようにも聞こえる声がロキの耳に届いた。したりしたりとシギュンの持った皿に蛇の毒が滴り落ちる。

「泣いてさしあげればよかったのですわ」

今にも笑い出しそうな調子で声は言う。

「そうすれば、ヴァーリもナルヴィもそんなことにはならなかったのに」

ねぇ義母様、と言ったときにシギュンは動揺したのか皿の中の液体がちゃぷりと揺れた。

「…あまり虐めるなよ、冥府の女王」

怖くて怖くて泣いちゃうだろ、とロキは声を張り上げた。

「あら、ではその涙をバルドルに捧げましょうか」

そうすれば赦されるかもしれませんよ、といって声はようやく耐え切れずに笑った。ロキはそれに眉をしかめて叫んだ。

「よせ。おれはそいつが嫌いなのだ。それに今更バルドルが返ったとしても、俺は赦されない」

“終焉の夜明け”まで!と声とロキの声が被る。
くすくすと声は笑い、ロキは呆れたように、それはまだロキが神々の庭にいた際に他の神がもらしたものと同じ、溜息を吐いた。

「ヘル。冥府の女王。我が娘」

再びロキは声を張り上げる。

「本当にお前は、いい娘に育ったよ」

「あら、ありがとう父様」と声は、ヘルは、少女のように笑った。

+++
ヘルかわいいよヘルを突っ込んだ
みくしに載せたのに続きを足したものですあまりかわってない

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