7月23日の日記

2009年7月23日 日常
「殺すつもりはなかったんですよ」と男は弁解のような言葉を口にした。
殺すつもりはなかったと、どんな人間でもそういうのだろうな。
しかしこいつは人間ではない。化物だ。
化物だからといって人間の住まう世界で人間の形をしている以上、人間の規律に従わなくてはならないし、また罰則を受けなくてはならない。
私は嘘を吐く気にもなれなかったので思ったことそのままを口にし、男に告げた。
つまり「お前は罰則を受けなくてはならない」と。

男は顔を顰めて「どうしてもですか」と問うたので私は「どうしても、だ」と言葉を繰り返し「少々面倒ではあるがしかたのないことだ、諦めろ」と続けた。
「わかりました」と男は不服そうながらも返事をし、私は溜息を吐いた。これは厄介なパターンだ、と。

「あんたも殺すつもりはなかったんだ」

このまま放っておいてくれれば、殺さずに帰してやろうと思っていたか。
まず誰もがそう言うのだと、面倒になった私は声に出さずに口の中に止めた。
誰もが自分を特別だと思っている。化物でも人間でも、罪を犯すものの言い分はかわらない。
変貌していく男を尻目に私は笑った。殺すつもりはなかった、か。

「本当にいい言葉だな」

私もお前を殺す気はなかったんだぜ、と変貌中の男の頭を吹っ飛ばした。

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なんだこれ

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